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ストレンジ・シチュエーション法(SSP)とは?アタッチメントの個人差|保育の図書館

SSP_アイキャッチ

一言で言うと

ストレンジ・シチュエーション法とは

エインズワースによって考案された、アタッチメントの個人差を調べるための実験手法

です。

もっと詳しく

まずアタッチメントとは?

ストレンジ・シチュエーション法を理解するために、予備知識としてアタッチメントを知っていると良いです。

↓参考はこちら↓

保育学用語辞典では「アタッチメント」の定義を以下のように記しています。

愛着 / アタッチメント [attachment]

子どもが物理的・心理的負荷にさらされたときに、重要な他者とくっつくことで、その不安定な状態を立て直す特徴をもった、子どもと重要な他者との間の情緒的関係。

引用:平田悠里. 保育学用語辞典. 中央法規, 2019年, p43

つまりざっくり解説すると

  1. 子どもが何かしらの負荷にさらされるよ
  2. その負荷から回復するために、子どもにとって大事な人とくっつくよ
  3. その大事な人と子どもとの関係性がアタッチメントだよ

という事です。

SSP_アタッチメントの説明

このアタッチメントを念頭に置きながら、ストレンジ・シチュエーション法とは何なのか一緒に見ていきましょう。

ストレンジ・シチュエーション法とは?

どんなの?

先程説明したアタッチメントですが、子どもが育つ環境や気質などで形成されます。

育つ環境や気質というのはとても多様なので、アタッチメントの個人差は大きいのです。

SSP_アタッチメント個人差

その子どものアタッチメントの個人差を調べるために考案したのがエインズワース(Ainsworth et al., 1978)のストレンジシチュエーション法(SSP)です。

SSP_SSPの説明

エインズワースはアタッチメントが不安や恐れを感じたときに働くという特性に着目しました。

重要な他者にくっつこうとするアタッチメント欲求をはたらかせるために、子どもに少しネガティブな感情を経験させます。

その結果どうなるのか、というのがストレンジ・シチュエーション法の目的になります。

SSP_手順

実際にどうやるの?

では、実際にエインズワースはどのようにストレンジ・シチュエーション法を行ったのでしょうか?

ストレンジ・シチュエーション法は生後12ヶ月から18ヶ月の子どもを対象に、以下の順序で行われました。

  • 子どもと養育者を大学の実験室に連れてくる
  • 実験室で初めて会う人(研究者)と遭遇させる
  • 養育者は退出して、実験室には子どもと初めて会った研究者のみの状況にする(分離
  • 養育者が実験室に戻る(再会
SSP_やり方

結果は?

ストレンジ・シチュエーション法における

養育者は退出して、実験室には子どもと初めて会った研究者のみの状況にする

という子どもと養育者との分離場面と、

養育者が実験室に戻る

という子どもと養育者との再会場面にで子どもの行動に個人差が表れました

エインズワースはその分離場面と再会場面における個人差を以下の3つのアタッチメントスタイルに分類しました。

  • Aタイプ(回避型)
  • Bタイプ(安定型)
  • Cタイプ(アンビバレント型)

アタッチメントスタイルそれぞれの判断基準は

  • 養育者と離れた時に混乱を示すか
  • 養育者と安定的な再会ができるか

の2つです。

アタッチメントスタイルそれぞれについて見ていきましょう。

Aタイプ(回避型)

Aタイプと分類された子どもは

  • 養育者と離れた時に混乱を示すか ➡︎ NO
  • 養育者と安定的な再会ができるか ➡︎

です。

養育者とバイバイする(分離)時に、それほど混乱や困惑の様子を示しません。

そして養育者が戻ってくると(再会)、目をそらしたりと、養育者を避けるような行動が見られます。

そのため、Aタイプの子どもは回避型とも言われます。

Bタイプ(安定型)

Bタイプと分類された子どもは

  • 養育者と離れた時に混乱を示すか ➡︎ YES
  • 養育者と安定的な再会ができるか ➡︎ YES

です。

養育者とバイバイする(分離)時に、ひどく混乱や困惑の様子を示します。

しかし養育者が戻ってくると(再会)、それまでのぐずった状態から容易に落ち着きを取り戻し、安心した表情で身体的接触を求めようとします。

そのため、Bタイプの子どもは安定型とも言われます。

Cタイプ(アンビバレント型)

Cタイプと分類された子どもは

  • 養育者と離れた時に混乱を示すか ➡︎ YES
  • 養育者と安定的な再会ができるか ➡︎ NO

です。

養育者とバイバイする(分離)時に、ひどく混乱や困惑の様子を示します

そして養育者が戻ってきた(再会)としても、落ち着かず、怒りをぶつけることもあります。

そのため、Cタイプの子どもはアンビバレント型とも言われます。

Dタイプ(無秩序・無方向型)

Aタイプ(回避型)、Bタイプ(安定型)、Cタイプ(アンビバレント型)の3つのアタッチメントをご紹介しましたが、このどれにも属さない第4のタイプの存在が注目されることになります。

それがDタイプです。

Dタイプの子どもは顔を背けながら養育者に近づいたり、養育者にずっとしがみついていると思ったら急に床に倒れ込んだりと、行動に一貫性を持ちません

養育者に近づきたいのか、離れたいのかよく分からないどっちつかずの状態なのです(Main & Solomon, 1990)。

そのため、Dタイプの子どもは無秩序・無方向型とも言われます。

一言でまとめると

ストレンジ・シチュエーション法とは

エインズワースによって考案された、アタッチメントの個人差を調べるための実験手法

です。

この用語のポイント

  • エインズワースによって考案されたよ
  • アタッチメントの個人差を調べるための実験手法だよ
  • 養育者との分離場面と再会場面の子どもの様子を見るよ
  • Aタイプ(回避型)、Bタイプ(安定型)、Cタイプ(アンビバレント型)、Dタイプ(無秩序・無方向型)の4つのタイプに分類されるよ

※今回の記事はSSPを推奨するものではございません。

参考資料

  • 平田悠里. 保育学用語辞典. 中央法規, 2019年, p43
  • Ainsworth, M. D. S., Blehar, M. C., Waters, E., & Wall, S. (1978) Patterns of attachment: A psychological study of the Strange Situation. Erlbaum.
  • Main, M., & Solomon, J. (1990) Procedures for identifying infants as disorganized/disoriented during the Ainsworth strange situation. In M. T.
    Greenberg, D. Cicchetti, & E. M. Cummmings (Eds.), Attachment in the preschool years. University of Chicago Press.

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